こんにちは。
コロナウイルスで拡張されていた春休みもとうとう終わりに近づいてきました。
悲しいです。メンボーです。
早速前回に引き続き院試を解いていくわけですが、今回は2019年筑波大学大学院入試の大問Ⅱ[B]から始めます。
↓リンクはこちら。
http://www.px.tsukuba.ac.jp/~senkou/documents/exam/5bf254daa737f.pdf
問題設定はこう↓
第一問目は線分OGの長さがになることを示せという問題です。
重心の定義
に忠実に従い計算します。ただ今回は質量が連続的に分布しているためこの表式を連続的な表式↓に書き換えます。
ただし点Oを原点にOからGへ向かう向きをy軸正に設定しました。
勿論この式の分母は半円の面積なので。
分子は。被積分関数のルート部を置換することにより、
\begin{eqnarray}
\displaystyle
\int_0^ a 2y \sqrt{a^ 2- y ^2} dy = \int_{a^ 2}^ 0 - \sqrt{t} dt
= \frac{2a^ 3}{3}
\end{eqnarray}
よって、となります。
続いて第二問目はGを通る半円の底面に垂直な軸に関する慣性モーメントを求めよというものです。
ここで用いるのが「平行軸の定理」と呼ばれるもので、式としては
\begin{eqnarray}
\displaystyle
I_O = I_G + M d^ 2
\end{eqnarray}
と表せます。ここで重心Gを通るある軸に関する慣性モーメントが、ある点Oをとりその軸と平行な軸をとし線分OGの長さをd、物体の質量をMとしています。
この式が意味するところは恐らく重心周りが一番回転しやすいということでしょう。というと
\begin{eqnarray}
I_G = I_O - Md^ 2
\end{eqnarray}
と式変形すれば見やすくなるかもしれません。重心Gの位置というのは、その物体固有のもので不変です。ですから、ある点Oを通る軸周りの慣性モーメントを求めたいとなった時には必ずとなります。重心Gを通る軸以外の軸を選んだ時すべてでそれは成り立つため、が一番小さいということになります。
早速この式をこの問題に適用してみたいのですが、そのためにはを求めなければいけません。前回同様慣性モーメントの定義
\begin{eqnarray}
\displaystyle
I = \int \rho r^ 2 dV
\end{eqnarray}
を用いてさっさと計算します。今回は、ですね。はい次は算数!!
\begin{eqnarray}
\displaystyle
I_O = \int_0^ a \frac{2M}{\pi a^ 2 h} \pi r dr h = \frac{Ma^ 2}{2}
\end{eqnarray}
よしこれで、平行軸の定理を使えるようになりましたね。
\begin{eqnarray}
\displaystyle
I_G &=& I_O - M d^2 \\
&=& (\frac{1}{2} - \frac{16}{9 \pi^ 2}) a^2 M
\end{eqnarray}
でこれが答えです。
次です。問3です。これまた平行軸の定理を用いるのみでございます。
懐かしの定理、余弦定理を用いて線分PGの長さの2乗を計算します。下の図の赤い斜線で適当に塗られた三角形に対して適用して、
\begin{eqnarray}
PG^ 2 = a^ 2 + b^ 2 +2ab \cos{\theta}
\end{eqnarray}
この結果を平行軸の定理に適用して、
\begin{eqnarray}
I_P &=& I_G + PG^ 2 \\
&=& \frac{9 \pi - 16\cos{\theta}}{6 \pi} Ma^ 2
\end{eqnarray}
となる。
はい次。問4です。これはエネルギー保存則により、
\begin{eqnarray}
\frac{1}{2} I_P {{\theta}^ {\prime}}^ 2 + Mg(a - b \cos{\theta}) = Mg(a - b \cos{\theta_0})
\end{eqnarray}
と立式をして、ここからについて解きます。すると
\begin{eqnarray}
\displaystyle
{\theta}^ {\prime} = \sqrt{\frac{ 16g(\cos{\theta} - \cos{\theta_0}) }{a (9 \pi - 16 \cos{\theta})}}
\end{eqnarray}
となってこれが答えです。
はい、ラスト。問5です。
やや唐突かもしれませんが、先ほど問4でエネルギー保存則により立てた式を時間微分します、
\begin{eqnarray}
\displaystyle
\frac{1}{2}(\frac{d I_p}{dt} {{\theta}^ {\prime}}^ 2 + I_P 2 {\theta}^ {\prime} {\theta}^ {\prime \prime}) = -mgb \sin{\theta}
\end{eqnarray}
この式に問4で求めた、、問3で求めたを時間微分したもの
を代入して、でを用いれば以下のようになります。
\begin{eqnarray}
{\theta}^ {\prime \prime} = \frac{-8g}{a(9 \pi - 16)} \theta
\end{eqnarray}
これにより角振動数が先ほどの式の右辺のの前の係数の根号を取ったものであると分かるので、振動の周期は
\begin{eqnarray}
T = \frac{2 \pi}{\omega} = 2\pi \sqrt{\frac{a}{g} (\frac{9\pi}{8} - 2)}
\end{eqnarray}
となります。これが答えだと思われます。
では。