徒然なるままに

私の不器用な人生を見届けてください

夏目漱石著「こころ」を読んでみて。。 PART2

こんばんは。今日も物理で疲れましたメンボーです。
前回に引き続いて後半部分の『先生と遺書』のあらすじを書いていこうと思います。

後半部分の状況としては、父親の死をまさに見届けようとしている「私」が「先生」からの手紙を受け取り、その中で自殺を思わせる文言を目にして居てもたっても居られなくなってしまったために「先生」のもとへと向かう電車に乗り込んで手紙を読んでいるといったところです。


さて早速手紙の内容に踏み込んでいこうと思います。
手紙の冒頭には「私」にこの手紙を書こうと決断するまでに至る思考と「私」に対する願いが連ねてありました。『私の過去をあなたに与えずに死ぬのは惜しい』『あなたほど真面目な人が眼前に現れなければだれにも語ることはなかった』『私の生きた経験から参考になるものを自分でつかめ』こういった文言でした。

こうして「先生」は自身の物語をただ一人「私」だけに託すのです。(ここからは先生が語り手となる文章となっております。なので今回文中に出てくる私は前回で言う先生です。)

物語の初めは「先生」の実家が舞台となります。学生時代、両親を病気で亡くしてから実の親代わりになってくれたのは叔父でありました。東京の高等学校に行きたいという希望にも沿ってくれ、また十分すぎるほどの金銭的な援助もしてくれていたため大変感謝をしていました。叔父のお蔭で勉学に励みながら順調に生活していたのですが、あるとき結婚を強く勧められます。高等学校に入ったばかりなので、もちろん初めは断りますがその後もしつこく縁談をもちかけられます。更には叔父の娘さん、つまり従兄弟をお嫁にもらわないかという話ももちかけるのです。そうした度重なる縁談を断り続けていくと、叔父をはじめ親族の私に対する態度が変わっていきます。何かがおかしいと思い、居てもたってもいられなくなった私は両親の財産について調べるのでありました。そこで叔父が金銭を誤魔化していることが判明します。縁談の話を執拗に勧めるのも、遺産相続を有利に進めたいがためだったのです。私が人間不信に陥ってしまったのはこれが大きな原因であると書かれてありました。

叔父の不正が判明してすぐに叔父の家をでて東京で家を探すことになりますが、その中で下宿の話をもちかけられます。その下宿先は軍人の遺族で、家にはその奥さんとお嬢さんがいるのみでした。こうして、わたしと「奥さん」「お嬢さん」の3人の生活が始まります。親族の裏切りという大きな出来事があったすぐ後ですから、最初は2人にも疑い深い眼を向けるのでありましたが、それに対し2人は全く取り合いませんでした。それが功を奏したのか私は段々と落ち着いていきました。*1そうして平和な生活を続ける中で次第に私は「お嬢さん」に心惹かれていきます。(前回の記事の「先生」の「奥さん」というのはこの「お嬢さん」です。)

ある日、3人の生活にもう1人加わることになるのですがそれが私の同郷の友人「K」でした。「K」は頭脳明晰で真面目、そして自分の意見は全く曲げない堅固な人間でした。家族との不和が原因で精神的に参っていく「K」の様子をみていたたまれなくなった私は半ば強制的に「K」を説き伏せて4人での生活をスタートさせます。
しばらく生活を続けるうちに真面目の塊であった「K」も次第に「奥さん」「お嬢さん」と打ち解けるようになります。そして、「K」は私のいない間に「お嬢さん」と2人きりで会話するまでになってしまったのです。これに対してもちろん私は嫉妬してしまいます。そして追い打ちをかけるように「K」が私に告げるのです。お嬢さんに好意をよせていると。

この「K」の告白が物語の大きな転換点なので、唐突ではありますが、今日のところはここで切らせていただきます。
それではさらば。

*1:奥さん始め家のものが、ひがんだ私の眼や疑い深い私の様子に、てんから取り合わなかったのが、私に大きな幸福を与えたのでしょう。私の神経は相手から照り返してくる反射のないために段々静まりました。