徒然なるままに

私の不器用な人生を見届けてください

夏目漱石著「こころ」を読んでみて。。 PART3

こんばんは。最近なぜか眠れないメンボーです。
今回は前回に引き続きあらすじを書いていきます。

前回は「先生」「お嬢さん」「奥さん」の生活に加わった「K」が「お嬢さん」に対する恋心を打ち明ける場面で終わったのでありました。。。

↓「先生」が語り手の文章となります。
以前から私は「K」に対して畏敬の念を抱いており、私よりもずっと強いことを認めていました。だからこそ、「お嬢さん」を取られてしまうことを強く恐れました。その恐れからか、「K」の言動に神経を尖らせ、彼の思惑を測るようなそんな日々が続きました。そんなある日「K」の方から散歩に行かないかと珍しい誘いを受けます。そこで「K」は自身の煩悶を打ち明けるのでした。現在の自分について私に批評を求めることや、『自分が弱い人間であることが恥ずかしい』・『ただただ苦しい』と告白することは平生の「K」ではないこと、理想で築き上げた牙城が自分の中に確かにある「お嬢さん」への恋心に崩されて弱っていく様子を表していました。こうして弱っている今なら「K」に簡単に勝てる、そう思った私はこう言い放ちました。
『精神的に向上心のないものは馬鹿だ。』と。
『止めてくれ』と言う「K」に対して更に追い打ちをかける言葉*1を浴びせると、普段は強情で並々ならぬ強さを感じさせる「K」も私の前に委縮して小さくなるような感じがしたのです。その後、「K」は『覚悟』という言葉を残して家にかえります。

散歩での会話の後から「K」に対して勝利の色を見せる私は、あるとき『覚悟』の意味を探り始めます。頭の中で何回も咀嚼した結果、「お嬢さん」に対する恋心を一心に注ぐことであると解釈したのです。私は「K」より先にことを運ばなくてはならないと思い、「奥さん」に「お嬢さん」をくださいと直談判するのでありました。「奥さん」から色々の質問こそあったものの、了承を得て、「お嬢さん」にもこの話が伝えられます。そして、「K」にもこの話に伝えることになるのですがこの数日後「K」は自殺してしまいます。「K」は私宛に遺書を書き残していました。その内容は、自分は意志弱行で到底行先の望みがないから自殺をするということといままで私にお世話になった礼があるのみでした。私は途轍もない恐怖に襲われました。罪の意識に襲われました。*2
その事件の後、「奥さん」も「お嬢さん」も前のところにいるのを嫌がりますし、私もその夜の記憶を毎晩繰り返すのが苦痛だったので、相談の上住む場所を変えることに決めました。住む場所を変えてすぐに私と「お嬢さん」は結婚します。

ここからは「お嬢さん」のことを「妻」と呼びます。

私は結婚後の「妻」との生活が私の心持を一転して新しい生涯にはいる糸口になるかもしれないと期待します。しかし、現実はその全く反対でありました。「K」の自殺の原因は「K」を精神的に責め立て、「妻」への失恋をさせた私にあると考えていたので、「妻」を見ると「K」を想起してしまい罪の意識にさいなまれるのでした。いっそのこと「妻」に事の全て(「K」も「妻」に恋心を抱いており、それを出し抜いて結婚を懇願したこと。)を話そうとしたこともありました。しかし、そうして「妻」の記憶に一点でも暗黒な印をつけてしまうこともまた私にとって苦痛だったのです。私は身動きを取ることができませんでした。むしろ、苦しくなっていくばかりでした。「妻」は私の変化に気づき、何故なのかと聞きますが説明してやれません。そうして私を理解しえない「妻」が涙を流すときもありました。こうして肥大化していく苦しみを自分の胸の中だけにしまい続けているうち、強い淋しさ・孤独を味わうようになりました。すると「K」の自殺がただの失恋によるものではなく、淋しくて仕方がなくなったからではないかと疑いました。「K」もこのような心持だったのであろうかと想像すると更に罪悪の念が強まっていくのでありました。そして来る明治天皇崩御とともに、自身の身を亡ぼすことを決定しました。ここまで長々と書かれた私の過去を他の人に伝えてもらっても構いません。ただ一人「妻」を除いては。

と、これが「先生」から「私」への遺書の締めくくりであり、小説『こころ』の締めくくりでもあります。
な、なんと悲劇的な終わり方。。。
次回は「こころ」を読んでの感想を書いていきたいと思います。
それではさよおなら。

*1:止めてくれって、僕が言い出したことじゃない、もともと君の方から持ち出した話じゃないか。しかし君が止めたければ、止めても可いが、ただ口の先で止めたって仕方があるまい。君の心でそれを止めるだけの覚悟がなければ。一体君は君の平生の主張をどうするつもりなのか。

*2:私は又ああしまったと思いました。もう取り返しがつかないという黒い光が、私の未来を貫いて、一瞬間に私の前に横たわる全生涯を物凄く照らしました。そうして私はがたがた震えていたのです。