徒然なるままに

私の不器用な人生を見届けてください

Normal Zeeman Effect PART1

こんにちは。 研究に一切手を付けていません。怠惰なメンボーです。 まぁ、ただコロナの影響で研究室に行くことができないという状況ですので自分の勉強しててもいいですよね。

ということでずっとなおざりにしてきたゼーマン効果についてやっていきたいと思います。
正常ゼーマン効果を一言で言えば、
   「縮退していた軌道角運動量のエネルギー準位が外部磁場によって解かれること」
です。

早速説明に入っていきます。最初に大まかな手順を示します。

「正常ゼーマン効果理解した。」までの道のり
  1. 磁場中の荷電粒子のハミルトニアンを求める。
  2. Hに式変形を施す。(ハミルトニアンをきれいな形に持っていきます。)
  3. HをうけたHをこの荷電粒子の固有関数に作用させて、エネルギー準位が分裂しているかどうかを確かめる。 です。

今回はstep1を進めていきます。 真空中の質量m, 電荷qの荷電粒子に電場 \boldsymbol{E},磁場 \boldsymbol{B}を印加します。この時Newton:eqより

\begin{eqnarray} \displaystyle \boldsymbol{F} = q \boldsymbol{E} + q( \boldsymbol{v} \times \boldsymbol{B}) \\ \end{eqnarray}

ですね。今後のことも考えてEinsteinの縮約記法(添え字)使って書きましょう

\begin{eqnarray} \displaystyle m \ddot{X_i} &=& q ( E_i + (v \times B)_i ) \ &=& q ( E_i + \epsilon_{ijk} v_j B_k) \tag{1} \end{eqnarray}
ですね。ここで、更に改良します。電磁場を表すときは何かとスカラーポテンシャル \phiベクトルポテンシャル \boldsymbol{A}を使うといいものです。 なので、

\begin{eqnarray} \displaystyle E_i &=& - \partial_i \phi - \frac{\partial A_i}{\partial t} \\ B_i &=& \epsilon_{ijk} \partial_j A_k \end{eqnarray}

を式(1)に代入します。すると、

\begin{eqnarray} \displaystyle m \ddot{X_i} &=& q ( - \partial_i \phi - \frac{\partial A_i}{\partial t} + \epsilon_{ijk} \, v_j \, \epsilon_{klm} \, \partial_l \, A_m ) \\ &=& q ( - \partial_i \phi - \frac{\partial A_i}{\partial t} - \epsilon_{kji} \, \epsilon_{klm} \, v_j \, \partial_l \, A_m ) \\ &=& q ( - \partial_i \phi - \frac{\partial A_i}{\partial t} - (\delta_{jl} \, \delta_{im} \, - \delta_{jm} \, \delta_{il}) \, v_j \, \partial_l \, A_m ) \\ &=& q ( - \partial_i \phi - \frac{\partial A_i}{\partial t} - v_j \, \partial_j \, A_i + v_j \, \partial_i \, A_m ) \tag{2} \end{eqnarray}

となる。最終目標はハミルトニアンを作ることなのだから、正準運動量 P_iを求めなければいけない。そのためにはラグランジアン作らなければいけない。正準運動量は \frac{\partial L}{\partial X_i}で定義されるのだから。ではラグランジアンを求めていきたいのであるが、 L = K - Vで楽勝やぁとそうはいかない。なぜなら力が速度によっているからです。 そこで逆に式(2)がEuler-Lagrange:eq式(3)から出てくるような

\begin{eqnarray} \displaystyle \frac{d}{d t}(\frac{\partial L}{\partial \dot{X_i}}) - \frac{\partial L}{\partial X_i} = 0 \end{eqnarray}

Lよ降りてこい降りてこいと願うとこんな↓Lが出てくるわけですね。

\begin{eqnarray} \displaystyle L &=& \frac{m}{2} \sum_i^ 3 \dot{X_i}^ 2 - q\phi + q(\sum_i^ 3 X_i A_{j}) \end{eqnarray}

んで、 P_iはですね

\begin{eqnarray} P_i = \frac{\partial L}{\partial X_i} = m \dot{X_i} + q A_i \tag{4} \end{eqnarray}

となりました。そしてHamiltonianとLagrangianには以下のようなLegandre変換の関係がありますから、

\begin{eqnarray} H &=& \boldsymbol{\dot{X}} \boldsymbol{P} - L = \frac{m}{2} \boldsymbol{\dot{X}}^ 2 + q \phi \end{eqnarray}

となる。しかしここには式(4)の正準運動量が入らなければいけないので結局

\begin{eqnarray} H &=& \frac{1}{2m} (\boldsymbol{p} - q \boldsymbol{A})^ 2 + q \phi \\ \end{eqnarray}

(但し、 p_iは正準運動量なのではなく普通の運動量)となって目標であった磁場中の荷電粒子のハミルトニアンを求めることができました。よかったですね(他人事)。


参考文献
小出昭一郎 (1969)『量子力学(I) 』, 裳華房