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Normal Zeeman Effect PART2

こんにちは。 いつもぴえんのメンボーです。 早速続きをやっていきます。 前回は質量mの電荷qをもつ荷電粒子に電場 \boldsymbol{E},磁場 \boldsymbol{B}を印加したときハミルトニアンがどのような形になるのかを調べたのでした。結局、ベクトルポ \boldsymbol{A}スカラー \phiを用いて、

\begin{eqnarray} H &=& \frac{1}{2m} (\boldsymbol{p} - q \boldsymbol{A})^ 2 + q \phi \tag{1} \end{eqnarray}

になったのでした。前回の記述だと今回は、

HにHを施す。

ことが使命です。
では、いざ!

今回は舞台を原子核中におき、注目する荷電粒子を電子とします。なので、これまで使っていた電荷qを-eとして計算します。 ここで空間のある方向に、例えばz軸に向かって一様な磁場\boldsymbol{B}を印加したときのことを考えます。 ベクトルポ \boldsymbol{A}を対称ゲージ \boldsymbol{A} =\frac{1}{2}( \boldsymbol{B} \times \boldsymbol{r})として選ぶことで一様磁場が作られます*1。 すると、式2の運動エネルギー項の中で \boldsymbol{p} \cdot \boldsymbol{A} \boldsymbol{A}^ 2 という2つの計算をすべき項が出てきます。なので計算します。

\begin{eqnarray} \displaystyle \boldsymbol{p} \cdot \boldsymbol{A} &= \frac{1}{2}p_i \, \epsilon_{ijk} \, B_j \, r_k \\ &= \frac{1}{2} B_j \, \epsilon_{jki} \, r_k \, P_i \\ &= \frac{1}{2} \boldsymbol{B} \cdot (\boldsymbol{r} \times \boldsymbol{P}) \end{eqnarray}

ほい。そんでもって、

\begin{eqnarray} \displaystyle \boldsymbol{A}^2 &= \frac{1}{4} (\boldsymbol{B} \times \boldsymbol{r}) \cdot (\boldsymbol{B} \times \boldsymbol{r}) \\ &= \frac{1}{4} (\epsilon_{ijk} \, B_j \, r_k \, \epsilon_{klm} \, B_l \, r_m) \\ &= \frac{1}{4} (\delta_{jl} \, \delta_{km} \, - \delta_{jm} \, \delta_{kl}) B_j \, r_k \, B_l \, r_m \\ &= \frac{1}{4} \left \{ \boldsymbol{B}^ 2 \boldsymbol{r}^ 2 - (\boldsymbol{B} \cdot \boldsymbol{r}) \right \} \end{eqnarray}

となります。これを再度ハミルトニアンに代入して整理すると、

\begin{eqnarray} \displaystyle H = \frac{\boldsymbol{p}^ 2}{2m} -e \phi + \left[ \frac{e}{2m} ( \boldsymbol{r} \times \boldsymbol{p} ) + \left \{\frac{e^ 2}{8m} \boldsymbol{B} r^ 2 - (\boldsymbol{B} \cdot \boldsymbol{r}) \boldsymbol{r} \right \} \right] \cdot \boldsymbol{B} \tag{2} \end{eqnarray}

ここで、ボーア磁子 \mu_B = \frac{e \hbar}{2m}角運動量演算子 \hbar\boldsymbol{l} = \boldsymbol{r} \times \boldsymbol{p}を用いると、

\begin{eqnarray} \displaystyle H_0 = \left [ \mu_B \boldsymbol{l} + \frac{e^ 2}{8m} \left \{ \boldsymbol{B} r^ 2 - (\boldsymbol{B} \cdot \boldsymbol{r} ) \boldsymbol{r} \right \} \right] \cdot \boldsymbol{B} \tag{3} \end{eqnarray}

この式から軌道磁気モーメント \mu_0

\begin{eqnarray} \displaystyle \mu_0= -\frac{\partial H_0}{\partial \boldsymbol{B}} = -\mu_B \boldsymbol{l} - \frac{e^ 2}{4m} \left \{ \boldsymbol{B} r^ 2 - (\boldsymbol{B} \cdot \boldsymbol{r}) \boldsymbol{r} \right \}\tag{4} \end{eqnarray}

となり、第二項目は外部磁場を打ち消す方向に磁気モーメントを作るように流れる誘導電流によって生じる反磁性効果を表します。 一般にこの反磁性項の寄与は軌道角運動量に比例する項 - \mu_B \boldsymbol{l}に比べて非常に小さい、と教科書に書いてあることを鵜呑みするのは簡単なので、これらの項の大きさを比較してみましょう。 取り敢えず少し戻って(というのも最終的に基本的な物理量に数値を代入比較するため、最終的に得られた式2では少し都合が悪いのである)、軌道角運動量に比例する項(ここで H_Cとする。)、反磁性の項(ここで H_Dとする。)それぞれの項がどこから来たのかを確かめます。すると、 H_C \frac{-e}{2m}(\boldsymbol{p} \cdot \boldsymbol{A} + \boldsymbol{A} \cdot \boldsymbol{p}) H_D \frac{e^ 2}{2m} \boldsymbol{A}^ 2から来ていることが分かる。
さぁ、ここからはどんぶり計算であります。大きさだけに着目して大雑把に計算していきます。

\begin{eqnarray} \displaystyle \frac{H_D}{H_P} &= \frac{(q^ 2 /2m) A^ 2}{(e / 2m) 2PA} \backsim \frac{e A}{2P} \backsim \frac{eA}{P} \\ &= \frac{e (1/2 \, B \times r)}{\hbar / a_B} \\ &= \frac{|B| {a_B}^ 2}{h/|e|} \end{eqnarray}

上の計算を行う上で、「原子に関する現象では長さのスケールがボーア半径 a_B程度である」という仮定を行いました。
更に、二つ目の等号では対称ゲージとド・ブロイの関係式を用いました。そうして出てきたのは\frac{|B| {a_B}^ 2}{h/|e|}という式で、これなら計算できそうですね。 今回は B = 1[T] (1[T]は kg s^ {-2} A^ {-1}として、かなり強い磁場を印加したとしてみましょう。各物理量の数値は以下の通りで、

\begin{eqnarray} a_B = 0.529 \times 10^ {-10} [m] \, , \, h = 6.63 \times 10^ {-34} [J \cdot s] = [kg m^ 2 s^ {-1}] \, , \, |e| = 1.6 \times 10^ {-19} [C] = [A \cdot s] \end{eqnarray}

実際に計算すると、 4.3 \times 10^ {-6}となり、反磁性効果が非常に小さいことが分かりました。正常ゼーマン効果の説明は次で最後になりますが、この反磁性効果が無視できるということを前提として話を進めていくので、こんな計算をしたのでございます。

今回の目標は前回求めたハミルトニアンを綺麗な形にもっていくことでした。この綺麗という言葉、不確定要素が高すぎましたがこの言葉が意味していたのは数式が見た目に美しくなるというのではなく、物理的に意味を持つ項に分かれるということなのでした。 今回も目標達成ということでいいですよね、、物理をやっていると常に疑心暗鬼にならざるを得ません、、 そんな不安を抱えつつ、さようなら、、


参考文献
小出昭一郎 (1969)『量子力学(I) 』, 裳華房

*1:確かに \boldsymbol{B} = (0, 0, B)として \boldsymbol{A} = \frac{1}{2}{ \boldsymbol{B} \times \boldsymbol{r}}を計算し、Maxwell:eqから導かれる \boldsymbol{B} = rot\boldsymbol{A}を計算すると、仮定した一様磁場になるのでこれでよいのです。